作品概要
《音楽》は、画家のアンリ・マティスによって制作された作品。制作年は1910年から1910年で、エルミタージュ美術館に所蔵されている。

『ダンス』2作品と共に1910年に『音楽』は制作され、現在はロシア・エルミタージュ美術館に所蔵されている。
制作の背景
ロシアの芸術コレクターのセルゲイ・シチューキン氏が『ダンス』を依頼した後、同氏は『音楽』というタイトルの装飾パネル画の制作を願い出た。本作品のため、画家は巨大なキャンバスを準備し、下書きをせずに画面の構図を再考することに多くの時間を要した。
そのためキャンバスには現在でも多くの変更した箇所の筆致がうかがえる。望ましい効果を得るために画家が試行錯誤した全ての痕跡を見ることができる。
共通要素
『音楽』は『ダンス』2作品と3つの共通要素から成る。
1つは緑、赤、青の鮮やかな色彩の調和。2つ目は『ダンス』の5人の踊り手と同様、音楽を奏でる人と歌い手5人の簡略化して描かれた人物表現である。
『ダンス』同様、『音楽』では人物は丘の上を登り、日常生活から解き放たれ、時空を超えたイメージの中の肖像として描かれている。人物の性器が描かれていないのは依頼主からの要望ではあるが、本作品において性差の表現は視覚的に意味を成さない。
『音楽』は、圧倒的な静寂に佇み、5人が完全に孤立した不動の人物で、楽器を演奏することや、歌う行為そのものに特化して表現されている。人物の開いた口は共鳴し、鑑賞者はその歌声に引き込まれる。
笛吹く人物は一人ごちだ。音楽が孤立した人物同士を繋げ、画中の中心人物であるバイオリン奏者は指揮者として画面全体をまとめている。
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