作品概要
《ダンスⅡ》は、画家のアンリ・マティスによって制作された作品。制作年は1909年から1910年で、エルミタージュ美術館に所蔵されている。

《ダンスⅠ》の後、1910年に制作された《ダンスⅡ》は、1909年ロシアの芸術コレクターのセルゲイ・シチューキン氏からの依頼で制作された装飾パネル作品である。
モスクワにあるシチューキンのマンションの階段を飾るため3つの装飾絵画が依頼された。その3作品とは、《ダンスⅠ》と《ダンスⅡ》、もう1つは《音楽》だ。大きさは260cm×391cmで、《ダンスⅠ》とほぼ同じ大きさである。本作は1917年のロシア革命が勃発するまでは《音楽》と共にあったが、現在はロシア・サンクトペテルブルク・エルミタージュ美術館が所蔵している。
5人のダンスをする人物は赤色で力強く描かれ、対照的に背景はシンプルな緑とスカイブルーで描かれている。当時マティスはプリミティブ・アートから影響を受け、芸術における初期衝動を反映した作品で、古典的なフォービスムスタイルが採用された。涼やかな青と緑の背景の上に、対照的な激しい暖かい色と、リズミカルにダンスをするヌードいう構図は、抑圧された感情の解放や快楽主義を感じさせる。
本作はロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーのミュージカル『春の祭典』に現れる「少女のダンス」との関連が指摘される。手を繋いで輪になって踊っている人々をよく見ると、手前の二人の手が離れている。
その意図は明らかではないが、鑑賞者をこのサークルに参加させようと誘う効果であるいう解釈や、「決断」や「覚悟」といった緊張感を表現しているとされることもある。
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