作品概要
《生きる喜び》は、画家のアンリ・マティスによって制作された作品。制作年は1905年から1906年で、バーンズコレクションに所蔵されている。

ピカソの『アヴィニョンの娘たち』から影響を受けた『生きる喜び』は、初期モダニズム絵画の代表作と言える。この作品は1906年にアンデパンダン展で初めて展示されたが、鮮烈な色彩と空間表現の歪みについては賛否両論あった。
作品の中心背景には人物群が描かれ、マティスの作品である『ダンス』(1909-19010)の中に描かれていた群像に類似する。この作品では、女性の裸体群と瑞々しい強烈な色彩によって背景に男性たちが描かれている。「この作品は、画家仲間、特にパブロ・ピカソを奮起させ、直ちにピカソは彼の転機となった『アヴィニョンの娘たち』の制作に取り掛かった。」とバーンズコレクションの学芸員であるマルタ・ルチアがこの作品との関連性を指摘した。
美術評論家のジェームズ・B・クノーとトーマス・プットファルケンは、この作品がアゴスティノ・カラッチによる銅版画で、後に16世紀にフランドル人画家パオロ・フィアミンゴに同名の作品がある『愛の最盛期』から影響を受けたことを示唆した。この銅版画を基にすると、特に牧歌的な空想世界と背景で輪になって踊る人たちの構図など多くの類似性が見られ、クノー氏はカラッチの銅版画は、『生きる喜び』の最終図案に決定的な影響を与えたと結論付けた。
『生きる喜び』は、カドミウムイエローをふんだんに用いているが、作品の至る所で白や茶色の変色が見られる。色調の変化について研究者たちは、二酸化炭素と亜麻仁油などの接合材との化学変化により、現在見るような白や茶色に色彩が変化したものであるとした。
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