作品概要
《豪奢、静寂、逸楽》は、画家のアンリ・マティスによって制作された作品。制作年は1904年から1904年で、オルセー美術館に所蔵されている。

『豪奢、静寂、逸楽』はフランスの画家アンリ・マティスによる油彩画である。マティスの画歴にとっても、美術史上においても、『豪奢、静寂、逸楽』はフォービズムの出発点となる作品であると考えられている。
この作品はマティスがフレンチ・リヴィエラ(コート・ダジュール)の町サントロペで後期印象派の画家ポール・シニャックやアンリ=エドモン・クロッスと一夏を過ごした後、1904年に描いたものである。この作品はシニャックに触発されてマティスが初めて筆触分割を使った絵として重要である。筆触分割とは、絵の具を混ぜると濁って暗くなってしまうという問題を解決するために、絵の具を混ぜずにカンヴァスの上に隣り合わせに置くことで、遠くから眺めた際それらの絵の具が混ざって見えるが明るさは保たれるというものである。
マティスはこの技法を1989年に出版されたシニャックの著書『ウジェーヌ・ドラクロワから新印象主義まで』を読んで実践した。シニャックは1905年にアンデパンダン展に出品されたこの作品を購入した。しかしマティスは翌年には早くもこの筆触分割の技法を捨て、ファービズムの先駆者となっていく。
この絵のタイトルは印象派の詩人シャルル・ボードレールの詩集『悪の華』に収録された「旅への誘い」という詩のLà, tout n’est qu’ordre et beauté, Luxe, calme et volupté.(かの地にあるのは秩序と美、奢侈と平和と悦楽)というフレーズからとられている。
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