作品概要
《山上の誘惑》は、画家のドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャによって制作された作品。制作年は1308年から1311年で、フリック・コレクションに所蔵されている。

『山上の誘惑』は、ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャが制作したテンペラ画である。彼の代表作の一つであり、シエナ大聖堂のために制作された『マエスタ』の一部に当たる。本作は両面式となっており、大聖堂の祭壇の上部に飾られていた。
タイトルの通り作中では、キリストを誘惑しようとささやいてくる悪魔を、キリストが追い払っているシーンが描かれている。その場所は城が立つ、ごつごつとした岩山である。 本作は制作の過程で、大きな変更が加えられたことがわかっている。
この絵には天使たちが描かれているが、これらは最初から描く予定であったわけではなく、作品が完成する寸前の段階で追加されたものであると確認されているのだ。これは、依頼主からの急な希望で、最後の最後で追加されたものと考えられている。
聖書の中には、教会堂での誘惑、そして山上での誘惑についての記述がある。そのため、天使の描画を追加した理由としては、絵をこの記述により近付かせ、聖書の内容にリアリティを出すためだったと思われる。この変更の指示は、聖書に基づく神学の知識が豊富な人物によるものと考えられ、おそらくシエナの司教であったRuggiero da Casolであろうと考えられている。
聖書の記述によると悪魔は、キリストが自分に仕えればすべてのものを与えてやる、と誘惑したが、それに対してキリストは、自分の主は神のみである、とはっきりと言い渡し悪魔を追い返したとされている。
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