作品概要
《玉座の聖母子と6人の天使(ルチェライの聖母)》は、画家のドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャによって制作された作品。制作年は1285年から1285年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

『ルチェライの聖母』は、ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャにより中世後期に描かれた作品である。もともとはサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂に飾るために作成されたが、現在はウフィツィ美術館にて所蔵されている。本作では玉座に着く聖母と子キリスト、そして金色の背景に6人の天使たちが描かれている。
これにあわせて、祭壇の飾りについてもドゥッチオが描いたことが確認されており、ドゥッチョの作品のなかで文書記録として残されているものとしてはこれが一番古いことになる。同聖堂の主祭壇に飾られるものとして作成されたものの、『ルチェライの聖母』と呼ばれることになった所以は、その後ルチェライ家の教会内で使用されていたためと考えられている。
1285年4月15日付の契約書では、本作の作画報酬は150リラとし、条件は「聖母と子、そしてその他の”第3の存在”についても描くこと」ということのみで、内容や様式に関するその他の条件は指定されていなかった。また契約書内には、万が一完成品を依頼者が気に入らなかった場合、作品は作者の手元に残るものとし、その場合支払いはされないという記述もあった。
16世紀に入ると、芸術家の列伝を記したことで知られるジョルジョ・ヴァザーリは、誤って本作品を同年代の画家であるチマブーエ作であると発表し、この説は長らく覆されることがなかった。しかし19世紀に入り、歴史学者であるフランツ・ヴィクホフが本作と、同じくドゥッチョ作である『マエスタ(荘厳の聖母)』とを比較研究し、2作ともドゥッチョの作品に違いないと結論付けた。
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