作品概要
《テメレーア号の戦い》は、画家のウィリアム・ターナーによって制作された作品。制作年は1838年から1839年で、英国国立博物館に所蔵されている。

「テメレーア号の戦い」または、日本語では「解体のために最後の停泊地に曳かれていくテメレーア戦艦」とされることの多いこの作品は、ウィリアム・ターナーにより1838年に描かれ、1839年にロイヤル・アカデミーにて発表された油彩である。
テメレーア戦艦は、98の砲台を積んだ戦艦で、ターナーが2度描いたトラファルガーの海戦においてヴィクトリー号とともにフランス軍との戦いに挑んだ2番艦である。トラファルガー海戦で被害を受けた後、監獄船、新兵収容艦としての任を全うし、1838年、売却・解体され、教会等の建築資材として使用されたと言われている。
本作品は、ターナーによる世界的な名画であるとともに、2005年にイギリス国民による投票で「最も偉大なイギリス絵画に選ばれている。ターナーは、1938年9月6日に、偶然船上からこの戦艦の最期目撃し、この画を描いたとされている。
ターナー自身、トラファルガー海戦が起きた1805年にこの戦争、およびネルソン提督の無言の帰還を目の当たりにしていたことから、本主題に対する思い入れも強かったようである。
原題は「Fighting Temeraire」とされており、戦艦に対する思い入れ、誇り、擬人的な感傷があったことがうかがえる。または、前年の1837年にロイヤル・アカデミーの教職を辞していることから、船の迎えた盛衰の歴史と自らの人生を重ねてみたのかもしれない。
本作で印象的なのは、水平線近くに燃えるように赤い太陽が描かれていることであり、テメレール号の有終を飾るとともに、幾度の戦争を経験しようとも人間が決して乗り越えることのない大自然への畏怖をも感じさせる。
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