作品概要
《ベニスのピアツェッタ》は、画家のウィリアム・ターナーによって制作された作品。制作年は1835年から1840年で、スコットランド国立博物館に所蔵されている。

大運河から、ピアツェッタを横切って雷の電気が走り抜ける様をとらえている。この作品は、ウィリアム・ターナーによる1835年の作品である。
雷の激しい光は、ドゥカーレ宮殿を照らし、セント・マルクス協会のドームおよびマルシアナ図書館の片面を浮かび上がらせている。ベニスにとって最初のパトロンであるセントセオドールの像および、羽根をはやした獅子の像をいただいたセント・マークの棟が、雨を避けて走る人々の頭上にまざまざと照らし出されている光景である。
画家は、嵐に逃げ惑う人々のドラマと、雷に照らし出されたピアツェッタの構造物群の美しさを紙の白い表面上に美しく描き出している。ターナーは1819年初めてイタリアを訪問して以来、毎年イギリス国内または海外を周遊し、数多くのスケッチを残しているが、本作品はベニスへの2回目の訪問を行った1833年より後に描かれたと考えられている。
作品は、ターナーがロイヤル・アカデミーの職を辞する1年ほど前に描かれた作品であり、画家の後期の特徴である建物や人の輪郭線があいまいで、光を波長ごとに分解した色彩による光・風・大気・雨といった自然現象の描写表現が幾か所にも観察できる。
また、画材は、水彩絵の具、ボディーカラー、ペン、インク、重ねた絵具を削る作業である掻き出しと、複数の技法を組み合わせている。本作品は、イタリアで見た光景やその時の数々のスケッチをもとにイギリスで描かれたものとされているが、完成は1840年頃とも言われる。現在は、スコットランドの国立美術館に収蔵されている。
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