作品概要
《ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)》は、画家のティツィアーノ・ヴェチェッリオによって制作された作品。制作年は1514年から1514年で、ナショナルギャラリーに所蔵されている。

本作はナショナルギャラリーが所蔵する2つのティツィアーノ最初期の作品のうちの1つである。キリストは復活後、マグダラのマリアを慰めるために彼女の前に出現する。彼女は初め庭の番人だと思ったが、キリストであることに気が付く。キリストは彼女に、「ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)」と告げる(ヨハネによる福音書第20章14-18)。
聖書の別の個所によれば、その後キリストは弟子たちに聖霊の力が与えられることを伝え、昇天した。キリストは弟子たちが自身の肉体的な存在に拘泥することを望まなかったのである。X線写真によれば、キリストは当初、庭の番人の帽子を被り、マグダラのマリアから遠ざけようとしているように描かれていた。
また、背景は本作が制作される途中で大きく変更された。青と金で描かれた地平線と、現実的な田園の村落の描写は、本作に一層の謎めいた効果をもたらしている。また、木はマグダラのマリアの、丘はキリストの身体のラインの延長上に配置され、画面全体をX字に分割する構図になっている。
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