作品概要
《橋の上の戦い》は、画家のジョルジュ・デ・キリコによって制作された作品。制作年はN/A年から1969年で、ローマ(個人蔵)に所蔵されている。

《橋の上の戦い》はイタリア人の画家ジョルジュ・デ・キリコによる形而上絵画である。
過去作品の踏襲
新形而上様式が確定した1960年代後半から、かつての物体の断片化に似た、彼自身の絵画の断片化という手法を用いるようになる。この作品をよく見ると、《城への帰還》《オデュッセウスの帰還》《イタリア広場》の3つの絵ないし、バリエーションから合成されたものである。
合成は、それぞれの原画の構成を内と外、前景と遠景等に2分にし、互いの分枝をかみ合わせている。全体としては、デ・キリコ の「形而上室内」の手法に属する作品と見てよい作品である。ただし、この作品においては、その室内の光景が大変特異である。
構成
《橋の上の戦い》というタイトルだが、煉瓦造りの橋の上では、切り絵のようなシルエットがまったく奥行きのない描写で戦闘の場面として描かれている。
このすべてが舞台装置のような希薄な存在感で、対してやや現実感じを与えるのが、その橋の下の水の流れである。しかし、その水も床の上をひろがってゆくというあたりが、虚構然としている。
窓の外の塔が、1970年の《祖父の城への帰還》というオレステスをモチーフにした絵画にも描かれているため、この絵もオレステスの物語をモチーフとしたものかもしれない。
画面左右のS字型の物体は、ギリシアの古代建築の円柱の上部の飾りをとりだしたもので、画面全体を神話化するための記号のようなものとして受けとることができる。デ・キリコの作品になじみの物体である。
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