作品概要

勝ち誇った愛》は、画家のジョルジュ・デ・キリコによって制作された作品。制作年は1918-25年から1925年で、フィラデルフィア美術館に所蔵されている。

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《勝ち誇った愛》は、イタリア人の画家ジョルジュ・デ・キリコによるドローイング作品である。

人物画

デ・キリコは実は大変腕の良い肖像画家でもあった。パリのポンピドゥーセンターに所蔵されている《ギョーム・アポリネールの肖像》を見れば、その才能は明らかである。しかし、キリコが一番に本領を発揮したのは、甲冑やマスクで、人物のアイデンティティーに対する手がかりが全く失われてしまった時である。

このドローイングでは、二つの頭部が画面に大きく描かれ、一つは女の、一つは男のものである。キリコが《勝ち誇った愛》というタイトルをつけたことからも、この二つの頭部の持ち主が男女の愛情関係にあることが暗示される。左側は、細い首や少し首を傾げる動作から女だとわかる。女が小首を傾げてもたれかかるのは男の首だ。

遠くには地平線と海のようなものが見える。キリコはバナナのオブジェで官能性を示唆したり、塔で男性のシンボルを暗喩することがあったが、裸像というのをこの時期には描いていない。ここでも激しく愛し合っているらしい男女が、顔を隠して寄り添うことによって、いっそう何か秘密めいた、深い二人の関係が見るものの想像を掻き立てる。

弟・サヴィーノの影響

二人の男女の顔は見えない甲冑によって隠れてしまっていて、胴体はマネキンになっているのか首までしか見えない。キリコは第一次世界大戦以前にパリでマネキン人形をモチーフに使い始めた。これはデ・キリコの二つ違いの弟、サヴィーノのドラマティックな詩に影響を受けたのではないかと言われている。

サヴィーノは作家、作曲家、詩人であった。パリに居たサヴィーノは兄のジョルジュ・デ・キリコとともに、ピカソ、ブラックなどパリのアヴァンギャルドと親交を深めた。

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基本情報・編集情報

  • 画家ジョルジュ・デ・キリコ
  • 作品名勝ち誇った愛
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1918-25年 - 1925年
  • 製作国NA
  • 所蔵フィラデルフィア美術館 (アメリカ)
  • 種類木炭、擦筆
  • 高さ52.1cm
  • 横幅40.1cm
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