作品概要

詩人の不確かさ》は、画家のジョルジュ・デ・キリコによって描かれた作品。制作年は1913年から1913年で、テート・モダンに所蔵されている。

詳細な画像を見る

《詩人の不確かさ》は、イタリア人画家ジョルジュ・デ・キリコによる形而上絵画である。

形而上絵画

この《詩人の不確かさ》(1913)、《愛の歌》(1914)、そして《ある通りの神秘と憂鬱》(1914)は、デ・キリコの初期の「形而上絵画」の時代の代表作である。

この当時の彼の著作によると、自然主義と呼ばれるものが持つ、自然に忠実であろうとする「センセーショナリズム」を拒絶しようとしたのだという。その代わりに彼が目指したのは、作品の中に「現実」に対する普遍の見方、つまり目にみえているものが、驚きや、意表をつくことによって、見ている一瞬が強烈になるような「謎」を示したかったのだという。

デ・キリコによると、彼の絵画は人間が夢をみるときと同じようなものを表現せねばならないという。デ・キリコは古典を愛しながら、それを新しくする態度が、生涯の全作品を通して通底しているが、この「形而上絵画」の時代にも、それはあてはまる。

モチーフ

彼の絵画には、説明されないもの、半ば自叙伝的な要素がつまっている。この《詩人の不確かさ》の絵の中では、遠くに描かれている汽車が見えるが、繰り返される汽車のモティーフに、エンジニアだったデ・キリコの父の職業との関係を指摘する研究者もいる。

高い壁のそばに線路が走る様子は、キリコが幼少時代を過ごしたギリシャの町、ヴォロスを彷彿とさせる。遠くに見える帆船のマストは、ヴォロスとゆかりの深いギリシャ神話の「アルゴナウタイ」を暗示しており、これはおそらく、キリコが母親と共通の「個人的な神話」と呼べるものなのかもしれない。

こうした隠された個人的な思い出や連想が、それを知る由もない鑑賞者の解釈を難しくし、キリコの秘密めいた雰囲気をより強固なものにしている。この絵の中のトロピカルフルーツであるバナナは、何を意味しているのかはっきりとしない。しかし、デ・キリコは著作の中でバナナの「官能性」「幸福感」に言及したことがあり、バナナのモチーフもたとえば「モンパルナス駅」に見られるように、繰り返されるものの一つである。

もしかしたら、バナナはここで人生の官能的な喜びを表現し、アフロディテの生命のない石膏像を補完する役割を担っているのかもしれない。

基本情報・編集情報

  • 画家ジョルジュ・デ・キリコ
  • 作品名詩人の不確かさ
  • 制作年1913年-1913年
  • 製作国フランス
  • 所蔵テート・モダン (イギリス)
  • 種類油彩
  • 高さ106cm
  • 横幅94cm
  • 更新日
  • 投稿日
  • 編集者
  • 詩人の不確かさの感想を書き込む

    こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。