作品概要
《サルタンバンクの家族》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1904年から1906年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

作品の特徴
本作は、ピカソの「バラ色の時代」(別名「サーカスの時代」)の代表作品である。
この頃彼は、サルタンバンクをテーマにした作品に熱心に取り組み、モントマトレのサーカス劇場に通っていた。
サルタンバンクとは「旅芸人」のことを指す言葉。通常のサーカス団で活動する者とは異なり、路上で大道芸を披露する者であり、芸人の中でも最下層に位置付けされている。
作品には6人のサーカス芸人が描かれており、全員ピカソらしく手に表情がつけられている。道化師の衣装の菱形模様、Vネックが画面に変化をつけ、少年の青い服と肩掛けの赤を対比することで、作品に締まりを出している。
人生の哀愁
6人は集団で行動しているのだが、絵の中で、彼らは誰も目を合わさず、ただ砂漠の海を前に途方に暮れている。大道芸で人々を笑わせることを生業とする彼らが、なぜこのような悲壮感漂う表情をしているのだろう。
芸をすることでわずかな収入を得て旅を続ける彼ら。まさにその日暮らしである。その生活の先には輝く未来や人生の保証はない。そうした生活に不安を感じながら精一杯生きている。
彼らを通して、人生の悲しさ、孤独、貧しさ、放浪といったものを、ピカソは描いている。
1910年にヴィネツィア・ヴィエンナーレに出展されたが、委員会から不適切と判断されブースから外されたというエピソードが残っている。
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