作品概要

二人(赤い塔のモデルたち)》は、画家のジョルジュ・デ・キリコによって制作された作品。制作年は1914年から1915年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

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《二人(赤い塔のモデルたち)》は1914年から15年にかけてイタリア人画家ジョルジョ・デ・キリコが描いた形而上絵画である。

ヘクトルとアンドロマケ

作品の題目は、ホメロスの叙事詩「イリアス」に登場するヘクトルとアンドロマケで、形而上絵画のアイコンとして度々用いられている。夫のヘクトルがトロイ戦争に向かうため、妻のアンドロマケに別れを告げに来るシーンである。

アンドロマケは絶望と悲しみで嘆いている。作中のヘクトルとアンドロマケは、奇妙なマネキンの姿で描かれている。ちぐはぐなに縫製されたマネキンは、機械の部品や幾何学的なオブジェクトが組み合わさり、胸部はメタルの板のようである。顔がなく表情はわからないが、その配置や動作から感情のようなものは読み取れる。

形而上的モチーフ

このマネキンのような人物像は、《預言者》(1915)や《ヘクトルとアンドロマケ》(1917)など他の作品にも度々描かれている。

この作品の左側に薄い赤の大きな塔が配置されている。この巨大な塔は、《赤い塔》(1913)との関連性を思い起させる。この作品で特徴的なのは、後方に描かれている景色や建築物から一見外にいるようだが、手前は室内のようになっている。室内用の床が敷かれ、その上には観葉植物と2体のマネキン風の人物像、その後ろにはイーゼルが配置されている。

床は奇妙な角度で絵画の半分を覆っている。これらの矛盾する空間設定や不可思議なモチーフの組み合わせ、幾何学的なラインやオブジェクトを用いるのも形而上絵画の特徴である。

セルフ・リメイク

デ・キリコはヘクトルとアンドロマケをモチーフに戦争への不安と絶望、愛を表現している。戦争に向かう自身をヘクトルに重ねたのかもしれない。

デ・キリコはこのテーマを第一次世界大戦から1920年代までシリーズとして描き続け、背景やオブジェクトを変え、何度も自身によってリメイクされた。

デ・キリコの初期の形而上絵画作品は後のシュルレアリストに多大な影響をもたらすが、その後の突然の古典回帰を経て、晩年には初期の形而上絵画のレプリカを自身で大量に制作したため、自身の作品を模倣するアーティストと言われ批判を浴びる。

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基本情報・編集情報

  • 画家ジョルジュ・デ・キリコ
  • 作品名二人(赤い塔のモデルたち)
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1914年 - 1915年
  • 製作国フランス
  • 所蔵ニューヨーク近代美術館 (アメリカ)
  • 種類油彩
  • 高さ81.9cm
  • 横幅59cm
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