作品概要
《庭園での苦しみ》は、画家のウジェーヌ・ドラクロワによって制作された作品。制作年は?。

作品の構成
《庭園での苦しみ》では、「キリストが天使たちを押しのける」という発想が、伝統的な聖像学を一新させている。さらには、天使たち自身も、迫りくるキリストの苦難み怯えている。
そして、左側には眠っている使徒たちが見切れていて、影にはキリストを逮捕しようと兵隊たちが準備している。この全てが斬新である。
この率直で直接的な扱いが、数多くある教会の絵画と一線を画している。
時代背景
当時の画廊に並ぶ宗教絵画のほとんどは、復古王政のもとにパリ県に注文された教会絵画であった。
しかし、その斬新なアプローチにも関わらず、《庭園での苦しみ》は、伝統的で感動的な評価を受けた。それは当時人気のあったムリージョの作品にもひけをとらなかった。特に天使たちが人々と評論家の注目を集めた。
論評
影響力の強い雑誌Globeのジャーナリスト、ルイ・ヴィテはこう語る。
「少し不適切な表現も見受けられるが、絵画を通して描き手の性格が見えるものである。想像力の豊かさに予想外の独創性。主キリストに、彼の悲しい行く末を告げに来た3人の天使たちの、張り詰めた、苦し気な表情は、とてもチャーミングなアイデアで、全く新しい発想である。
この3人の姿に、表現しきれない詩の世界を感じる。本当に素晴らしい。ドラクロワ氏の何が特別に独創的なのか。何がこの使い古されたお題を一新したのか。
それは、イタリア人の画家たちほど、天使たちの姿を南フランス人的な見た目にしなかったこと、そして、フラマン人の画家たちほど、天使たちの姿を重厚で壮大にしなかったこと、この2点を両立させたのが原因であろう。この3人の姿はまるでオシアンの『英雄詩』から飛び出してきたようで、総じて神々しい。
この試みによって、ドラクロワ氏はその才能を、醜く変わったものを描くためだけに使っているわけではないと、証明したのである。間違いなく、芸術を支える柱となるであろう彼に、芸術の名の元に、感謝の気持ちを贈りたい。」
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