作品概要
《コンポジションⅤ》は、画家のワシリー・カンディンスキーによって制作された作品。制作年は1911年から1911年で、個人所蔵に所蔵されている。

カンディンスキーは《コンポジションⅤ》を1911年の夏に描き始めたとされている。
本作は190.0 × 275.0㎝の非常に大きなキャンバスに描かれており、この大きさはカンディンスキーの抽象画に対する大志のあらわれである。
抽象画の父
本作は同年12月の第一回「青騎士展」で発表されて大変な評判を博した。後に彼は「あの時以来、抽象芸術の扉が私の目の前で開かれた。」「色彩の中に秘められた色や無意識の持つ可能性の啓示」と回顧している。
カンディンスキーが「あの時以来」と述べるように、1912年、第一回「青騎士展」の次の年から、国際的に多くの芸術家が、抽象表現を用いた絵画を発表する様になった。
本作はカンディンスキーが「抽象画の父」と呼ばれる所以となった作品と言えるだろう。
作品の特徴
本作はヨハネの黙示録の中の「最後の審判」を題材にして描かれたと言われている。
キャンバス右上には、トランペットを奏でる天使が描かれている。キャンバス内を左右に通る黒の強い線は、天使がトランペットで奏でた「音」を描いたと言われている。
キャンバス内には他にも何人かの天使と「音」が多様な太さと方向で描かれており、作品内の「音」の無限性を表現したとされている。
色の厚みによって光の在り処を表現し、死と復活が交錯するカンディンスキーの内面世界が表現されている。天使の存在がキャンバス内に死と復活、そして無限の世界の光を感じさる作品である。
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