作品概要
《コサック》は、画家のワシリー・カンディンスキーによって制作された作品。制作年は19010年から1911年で、ロンドン テート美術館に所蔵されている。

「コサック」 は1911年に完成した絵画である。作品には1910年の日付がはいっているが、作者のカンディンスキー自身の作品の目録には1911年と記されている。
1910~1911年当時、彼はミュンヘンで芸術活動をしていた。この時期は、彼の制作活動において作品の抽象性がどんどん高まっていった時期でもある。
名前の由来
本作品は完成当時には発表されず、1938年にロンドンのテートギャラリーに買い取られた際に発表されている。
カンディンスキーは当時、友人への手紙にこう記している。
「ロンドンに住んでいるアメリカ人女性が、私の戦前に描いた絵画をロンドンのテートギャラリーに持って行くと言って買った。ロンドンの著名な美術館に置かれる全く最初の近代美術だ。1911年完成の日付がある「コサック」という作品で、具象的な表現が残っているものの、どう見ても抽象画と映る作品だ。」
作品は「即興 17」「闘い」「composition 4の下絵」と他の名前でも知られているが、所蔵しているテート美術館が作品を買い取った際に、カンディンスキー自身が作品名を《コサック》とした為、テート美術館は一貫して《コサック》の作品名を使っている。
画家の言葉
本作品の中に描かれている具象を説明したカンディンスキーの言葉が残されている。
「絵の左上方に描いたのは、互いに前足を絡ませて嘶いている2頭の馬である。それぞれの馬に乗っているオレンジと赤で描いた騎士は、背の高い毛皮の帽子を被るロシアの騎兵士(コサック)であり、そのコサック達は藤色で描いた長いサーベルを互いに振り合っている。
馬の下方に描いた虹の掛かった谷、その谷の左側に見えるのは二組の銃で、オレンジ色の火と赤い噴煙がその一つから上がっているのだ。
谷の反対側に描いた建物は要塞で、その要塞の下に再び、オレンジ色の帽子を被った3人のコサックを描いた。そのコサックの内二人は、黒く長い槍を担ぎ、もう一人は伸びたように長い手をサーベルにかけている。そして空には鳥の群れが騒がしく飛んでいるのだ。」
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