作品概要
《青い山》は、画家のワシリー・カンディンスキーによって制作された作品。制作年は1908年から1909年で、ソロモン R グッゲンハイム美術館に所蔵されている。

バイエルンのガラス絵
当時カディンスキーは、バイエルンのガラス絵に傾倒しており、この絵はそれを思い起こさせる作品である。
カンディンスキーは1908年から、多くの作家や芸術家に好まれた南ドイツの街ムルナウに暮らした。ムルナウでは、ガラス絵、詩、戯曲等多岐の芸術表現に携わり、芸術家パウル クレーや音楽家アルノルト シェーンベルクといった多くの芸術家と影響し合った。
また、この頃、彼は内面世界への興味から神智学に傾倒し、本作品が完成した1909年には神智学協会に入会している。絵画の制作においても、外の世界を描くことから自身の内側を描く事に大きくシフトし、この作品は代表的である。
作品の特徴
本作品の色彩はより写実から離れたものになっている。暗い輪郭の中に鮮明な色を加える表現は、カンディンスキーのルーツであるロシアの民族芸術を反映していると言われている。
平面的なラインと筆使いは、彼の木版画作品を思い起こすスタイルであり、フォービズムの影響を受けたものだとも言われている。
中央に青い山とその両側に配置された赤と黄の木が大きく風景として描かれている。行列の中の3人の騎士が、青い山の正面に位置している。行列の騎士も歩行者も肌や服などが単色で平面的に描かれている。
本作品の制作当時、多くの芸術家がヨハネの黙示録をモチーフとした絵画を発表していた。この《青い山》もカンディンスキーがヨハネの黙示録「騎士」を表現したものだと言われている。
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