作品概要
《モスクワ(赤の広場)》は、画家のワシリー・カンディンスキーによって制作された作品。制作年は1916年から1916年で、トレチャコフ美術館に所蔵されている。

《モスクワ(赤の広場)》は、1916年にワシリー・カンディンスキーにより描かれた絵画である。
時代背景
カンディンスキーは、第一次世界大戦の煽りを受け、1914年にヨーロッパからロシアに帰国している。意気消沈したカンディンスキーは、帰国してから1915年までの間、絵を全く描かなかったといわれる。本作品は、帰国後初めて描いた絵画である。
この作品は、カンディンスキーがヨーロッパでの活動を共にした愛人、ガブリエラ・ミュンターへの手紙の為に描かれたと言われている。手紙の中でカンディンスキーは、「君に言っていた“この世の喜びや生きる幸せを表す大きな絵を描きたい”という夢が叶いそうな気がしている。私は唐突に、喜びの奏でる形や色の和音を感じているのだ」と記している。
描写
ロシア帰国後もカンディンスキーは美術理論家として、色、音、芸術による内面表現の共感覚の追求は続けていたが、この作品では大戦前に多く描いたモチーフである教会が描かれ、カンディンスキーの初期作品に見られる色や形が砕け散ったようなダイナミックな抽象表現が用いられた。
本作品には、モスクワの特徴的な景観が一つの円の上に描かれている。カンディンスキーが赤の広場の真ん中に立った視点でこの円を「自身」とし、そこに渦巻くモスクワの街を描いたと言われている。作品の中央に描かれたカップルは、原色の赤、青、黄色によって掻き消されそうな様子で描かれている。カンディンスキーはこの作品を描いた1916年に、後に二人目の妻となるニーナ・アンドレフスキーに出会っている。
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