作品概要
《いくつかの円》は、画家のワシリー・カンディンスキーによって制作された作品。制作年は1926年から1926年で、ニューヨーク ソロモン R グレイハム美術館に所蔵されている。

《いくつかの円》は、カンディンスキーが60歳になる年に、彼が生涯にわたって探求のテーマとした、精神世界を表現した油絵である。この作品を通して、彼は、芸術のあるべき姿を実証しようとしていたとも言われている。
カディンスキーの思い描く「宇宙の調和の極み」である本作は、線画のスタイルが実験的に取り入れられている。
「円」の持つ可能性
彼が「宇宙と繋がる形」「人工的な物の対極である」とした「円」。
この作品からは、彼の「円」という形への深い興味がうかがい知ることができる。
同心円と離心円組み合わせが一つの円の中に均衡を保つ様に描かれており、三つの基盤となる円と、小さな円が主となる円とキャンバス内の多方面から湧き上がるように描かれている。これは、4次元空間、又は宇宙を表していると推測される。
基盤となる円の線と色合いや相互の均衡、小さな円一つ一つのの色や位置にも、彼は最大限の演出を施した。
精神と感情の調和を表現する為に、円という形の持つ可能性とその演出の極限を追求した作品である。
ソロモンR グッゲイハム美術館に貯蔵される
本作品は1937年ナチスの指揮のもとに行われた「大ドイツ展」と「退廃芸術展」の同時開催において、退廃芸術の展示物として他の多くの抽象絵画、近代美術作品と共に展示された。
その際、ソロモンR グッゲイハムに買い取られ、ニューヨークに運ばれた。彼はヨーロッパに美術収集に訪れていた抽象画の収集家であり、現在アメリカのニューヨークにあるソロモンR グッゲイハム美術館の創立者である。
現在も本作品はニューヨークのソロモンR グッゲイハム美術館に貯蔵されている。
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