作品概要
《婦人と召使(女主人と女中)》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1667年から1668年で、フリック・コレクションに所蔵されている。

主題
本作の主題は、優雅な女主人と女中が、受け取ったばかりの手紙に2人で目を通しているところだ。フェルメールの作品は、この絵画にみてとれるように複数のキャラクターを扱うことで有名。
本作品では、女主人の優雅なファーライン付きオーバーコートを黄色で、また、女中のエプロンと絹のテーブルクロスを青色で大胆に描くなど、フェルメール特有の技法が披露されている。
家仕事が題材
注目すべき点は、日常の活動が描かれていることだ。フェルメールは女性を含めた、家仕事を題材にすることで知られており、黄色と青色、女性のモデル、家庭的なシーンといったものを起用することは、全てフェルメールの特徴である。
また、照明が左からあたり、女主人の顔に落ちていて、机の影は足下にかかっている。光のきらめきがとても分かりやすいが、深く心理学的には暗示を伴う。まだ開封していない恋文を見つめている女主人を見て手がかりになるのは、おそらく遠距離で誰かと関係をもっている、という点だろう。
密かな一瞥とボディランゲージをして、互いに寄り添う女主人と女中の関係性もほのめかされている。女主人は唇を噛み、指先で下あごを持ち上げ探るような態度で、悲しみに暮れてじっと注視する。女主人の横顔はもろくぼやけ、漠然としていることから、女性とは弱く愛らしいという考えが意図的に表現されている。
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