作品概要

科学と慈愛》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1897年から1897年で、ピカソ美術館に所蔵されている。

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初めてアトリエを持ったピカソによる、わずか15歳での大作で、19世紀後半に主流となった社会主義リアリズムに近い作品とされている。

当時、社会的リアリズムは、産業革命の広がりにより新たな地位を誇示する必要に差し迫られたブルジョア階級の人達に支持された。医学や薬学はヨーロッパ全体で人々が関心をよせた領域であった。1880年から1900年にかけて、病院を舞台にした社会主義リアリズムの絵画が花開いたとされる。

医師が科学を、尼僧が慈愛を表しており、手前の医師はもはや手の施しようが無く、患者の脈を診ることしかできない一方で、尼僧は危篤の患者をつつみこみ、安らぎを与えていることが暗示される。

本作からは、ピカソが既に古典的な技法を充分マスターしていたことが窺われており、マドリードで開かれた国展で佳作を、マラガの地方展で金賞を受賞している。

床に伏している病人を中心に向けられるその他の人物の視点が、鑑賞者の視点までも導いていく古典的な構成の取り入れや、巧妙な筆使いによる素材感の表現、デッサンの正確さなど、ピカソがかなり若い時期からその才能を発揮していたことを物語る作品でもある。

この作品は美術教師だった父親の指導のもとに制作したものとはいえ、ピカソ自身の高いデッサン力と構想を示しており、彼の造形における優れた能力は疑う余地のないものであった。子供を抱く修道女と医者が、同時に病や死から逃れることの出来ない人間の手を取っている。子供と修道女が題名に示される慈悲、医師が科学を象徴していると見なされ、二つの対比するテーマが鋭い観察眼をもって表現されている。

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基本情報・編集情報

  • 画家パブロ・ピカソ
  • 作品名科学と慈愛
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1897年 - 1897年
  • 製作国不明
  • 所蔵ピカソ美術館
  • 種類油彩
  • 高さ197cm
  • 横幅249.5cm
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