作品概要

聖セラピオン》は、画家のフランシスコ・デ・スルバランによって描かれた作品。制作年は1628年から1628年で、ワーズワース・アテニュームに所蔵されている。

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この『聖セラピオン』はセビーニャのメルセス会修道院のために描かれ、元来はサラ・デ・プロフンディスと呼ばれる死亡した修道会士の遺体が埋葬されるまで安置されている部屋に掲げられていた。

左胸の右のあたりに留められている小さなメモによって、聖人が誰であるかがわかる。

こうした背景から考えると、この作品は聖人自身の殉教の場面を描いたという以上に死の象徴としての意味を持っていたのである。これはこの聖人の殉教の残虐的側面を全く画面上に見せていないという点からも説明できる。

この英国の修道士は1240年に北アフリカにわたりキリスト教徒の捕虜を釈放するのと交換に自ら敵イスラム教徒の人質となった。セラピオンは彼の修道会が身代金を払うのを待つ間にキリスト教を説こうと試み、そのために処刑された。

その処刑は残虐なものであったというのが史実だが、スルバランはその悲惨な細部描写を全くしていない。これは、彼がこの作品で、キリスト教的な殉教に対する彼なりのメタファーを熟慮に熟慮を重ねて作り上げているのである。見た瞬間に感じさせる力強さは、光のドラマティックな使い方によって与えられている。輝く光線が白い修道服を金色に染めているのとは対照的に背景は暗く、セラピオンの手首を縛り付けた木の幹がかすかに見える程度である。この最初の衝撃が消えぬうちにポーズの巧みさが次に目に留まる。

聖セラピオンの抵抗力のなくなった身体が画面左に向かってかすかに傾いている感じは、頭を右肩にもたらせかけることによって見事に表現されている。このような細部の描写は慎重な配慮によって全体の構想に、キリスト教の殉教の意味を象徴的に描くという意図を従わされているのである。

美術批評家のT. ラボックはこの聖人の暴力的な殉教ながらも忍従と落ち着きをたたえた描写を、1581年にロンドンで殉教したイエズス会士エドマンド・キャンピオンの更に秒力的な殉教と比較して見せた。

この作品はホセ・デ・リベーラの伝統に連なるスペインのテネブリズムに則ってキアロスクーロ技法が使用されている。服に使われた白い絵の具は絵の静けさを作り出し、その一方で服の深いひだの暗い影は緊張感を生み出している。

2003年にスコットランド人の画家A. ワットは次のように記している。

「全てのひだが、単なる光と影にまで単純化されている。絵を観る人はこの簡潔さに魅了される。スルバランは聖人の貧しいローブの生地を清浄で偉大な神の領域の白にまで高めている」。

また、20世紀半ばのアメリカの詩人D. オハラもその作品『緊急事態における黙想録」』においてスルバランによる『聖セラピオン』を引用している。

基本情報・編集情報

  • 画家フランシスコ・デ・スルバラン
  • 作品名聖セラピオン
  • 制作年1628年-1628年
  • 製作国スペイン
  • 所蔵ワーズワース・アテニューム (アメリカ)
  • 種類カンヴァス、油彩
  • 高さ120cm
  • 横幅104cm
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