作品概要

祈る幼い聖母》は、画家のフランシスコ・デ・スルバランによって描かれた作品。制作年は1632年から1633年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

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『祈る幼い聖母』は聖書の物語を補足するために中世全般を通じて作られた外典などに基づくものである。聖母崇拝の高まりを受けて、聖母マリアの少女期の話を作り上げ、聖書の原文を補足するに至ったのである。そのなかでも影響があった伝説の1つに、少女期の聖母マリアはエルサレムの神殿に暮らし、祈りと司祭の祭服等の裁縫をして過ごしていたという話がある。

中世後期にしばしば描かれたこの主題が、17世紀、カトリック信仰が大衆化した時に再び復活してきたのである。スルバランは、この伝説を出発点として、ここではその様子の描画を礼拝用の演劇的な含みを持たせた絵へと変化させている。上部の左右隅に垂れ下がるピンクのカーテン、舞台の前面と思われるカンヴァスの下部に描かれた端から端まで走る縁が、単なる図解的な作品ではなく、演劇的な作品への明らかな転換を示している。

聖母マリアの周りの静物画はエピソードにリアルなタッチを与えている。スルバランが重要ではない小さな対象に高い完成度を与え、世俗的なものから神聖的なものへ高めてゆくかに見える慎重な配置を試みているのが見て取れる。スルバランはまるで芝居の一場面化のようにこの絵を描いているのである。神性をあえて世俗化し、そして世俗化した彼女を再び舞台の上に乗せ、そこで再び彼女を遠い存在として感じさせるというのは、演劇の持つ錯覚ではあるが強力な現実の表現を求めるというバロック的な約束事に忠実に従っているのである。

基本情報・編集情報

  • 画家フランシスコ・デ・スルバラン
  • 作品名祈る幼い聖母
  • 制作年1632年-1633年
  • 製作国スペイン
  • 所蔵メトロポリタン美術館 (アメリカ)
  • 種類カンヴァス、油彩
  • 高さ117cm
  • 横幅94cm
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