作品概要

聖女マルガリータ》は、画家のフランシスコ・デ・スルバランによって描かれた作品。制作年は1634年から1635年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

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特別な作品

『聖女マルガリータ』はスルバラン絵画の中でも即座に人の心をひきつける作品である。この作品では、処女殉教者が彼の時代の服装を身にまとい描かれた架空の肖像画である。このような肖像画はスルバランの作品のなかで特別な位置を得ているものである。

なぜならこれらが、彼の謹直でモニュメンタルな宗教画の対極点を構成しているためである。その少女の顔は美しいだけでなく強さも持っており、ポーズには控えめながらも揺るぎない決意が感じられる。彼女が信仰に殉じた者として、静かに確信に満ちているように見えるのもそのためである。聖女の魅力は、田舎風の服装や、彼女の仕事を示すアトリビュートである洒落た麦わら帽子と羊飼いの杖によって一層強められている。

聖人を描いたスルバラン

スルバランによる女性の聖人を描いた作品のうちのほとんどはシリーズ作品として制作され、その多くが助手の筆になるものである。

例えば1647年に彼はリマ市のために24枚の童貞聖人を描くという注文を受け、また1649年にはブエノスアイレス市のために1枚を描くという注文をも受けた。しかし、『聖マルガリタ』は恐らく1630年代中頃の制作であり、異例なことに自筆の作品である。

従って明らかに何らかのシリーズのうちの1枚というわけではない。描かれている聖マルガリタという人物は4世紀のアンティオキア(現トルコ、アンタルヤ近郊)に生きた童貞殉教聖人であり、キリスト教信仰のために結婚を断ったことにより牢に入れられてドラゴンに呑み込まれたが、十字架の力によって打ち勝って、その腹を破って脱出したと信じられていた。

ドラゴンの伝説

彼女は羊飼いの杖を持っているが、それは彼女が父から疎まれたために自分の養母と共に羊たちに草をたべさせることを任され、それによって生計を立てていたという伝説に基づいている。スルバランの絵の中で彼女は美しい衣装に身を包み、鞍袋(alforjas)を腕にかけ、手に本を持って、傍にいるドラゴンを気にも留めていないようである。

彼女の頭部や衣装は画家の細部に至るまで注意深くなめらかな筆致を示している。ドラゴンの尻尾は二重曲線を描いており、目を楽しませる技巧を凝らしたこの画面の格好のコーダとなっている。

また、彼女を飾り立てている色彩豊かな衣装も、抗いがたい魅力を聖女に与えている。伝統的なキリスト教の主題に基づきながら、優雅で控えめな改変作を作り出すというスルバランの卓越した才能に由来している作品である。処女殉教者をあらわしたスルバランの作品中でも最も優れたものの1つであることは間違いないだろう。

基本情報・編集情報

  • 画家フランシスコ・デ・スルバラン
  • 作品名聖女マルガリータ
  • 制作年1634年-1635年
  • 製作国スペイン
  • 所蔵ナショナル・ギャラリー (イギリス)
  • 種類カンヴァス、油彩
  • 高さ194cm
  • 横幅112cm
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