作品概要
《瞑想する聖フランシスコ(1939年)》は、画家のフランシスコ・デ・スルバランによって制作された作品。制作年は1639年から1639年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

『瞑想する聖フランシスコ』はスルバランのレパートリーの中で最も数多く描かれた主題の一つである。40点以上の作品が現存しており、大部分は当時スペインに多く広まっていたエル・グレコとその周辺の作品を基にして、彼の聖フランシスコ像を作り出したと考えられている。
画家としての生涯をとおして、彼はこの主題を幾通りかに変化させて描いている。この当時の作品では成人の純真な信仰や温かい心を示す要素よりも苦行に専念するものとして描かれていた。したがってその描画は、聖人が死について瞑想しているかのように頭蓋骨に視線を落としている場合と、神と交信するかのように視線を上に向けている場合とがある。
この作品は第2のタイプに属し、すべての作品の中でも特に陰鬱で演劇的なものである。直接的な表現手段を用いて、一条の強い光線が暗闇を貫き、跪いている聖者の姿をドラマティックに照らしているのである。この鮮明な照明を受けて、最も瑣末な細部にいたるまでもが見えるようになっている。つぎはぎの衣服を縫い合わせている針目、破れてギザギザになった袖口、光を反射している頭蓋骨のなめらかな表面等がそれである。
光はまた、聖人の姿のくっきりとした輪郭線を強調している。彫刻的と言われているこの絵画だが、この強い輪郭線には絵画的な効果があり、聖人の優雅な手振りによって聖人の祈りの上昇志向がハッキリと見て取れる。背景も、黒、褐色、暗緑色の色調で描かれている夜景でメランコリックな雰囲気を加えている。
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