作品概要
《ピーテル・ブリューゲル(子)の肖像画》は、画家のアンソニー・ヴァン・ダイクによって制作された作品。制作年は1630?年から1630?年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

本作は『アイコノグラフィー』のシリーズの1つであり、ピーテル・ブリューゲル(子)の肖像を描いた銅版画である。正確な年代はわかっていないが、おそらく1630年前後で、英国に戻る前にイタリアで制作したとされている。
ヴァン・ダイクは主に英国国王チャールズ1世のお抱えの宮廷肖像画家として活躍したが、このエッチングを用いた銅版画の作品は斬新な試みとされる。ヴァン・ダイクはこの「アイコノグラフィー」シリーズでは、肖像の顔の部分をエッチング、からだの部分をエングレービング技法で制作している。
このシリーズでは52枚がアーティストの肖像画がで、そのうち自身を描いた作品は18作品である。また18枚はアーティスト以外の肖像である。銅版画はヴァン・ダイクが通常肖像の頭部を下書きし、専門化が銅版画を完成させるという方法を取っていた。
アイコノグラフィーは高い技術を駆使して制作されて、一定の成功を収めたが、肖像画のほうが収入源が多く注文が多かったため、1632年ごろに英国へ再度渡ったヴァン・ダイクは、一点を除いて銅版画は制作していないとされる。美術史的にヴァン・ダイクのエッチング技術は非常に高く、点と線を組み合わせて制作されている。
また同じく銅版画を制作していたレンブラントよりもヴァン・ダイクのエッチング技術の方が多くのアーティストたちの模範となり認められている。写真が普及する前までこのエッチング技法は肖像画を大衆が目に触れることができるようになり、以後200年ほど西洋で普及される。
ヴァン・ダイクが死去するまで銅版画は商業的に出版されなかったが、1851年にルーブル美術館にて原画が購入された。作中の肖像、ピーテル・ブリューゲル(子)はフランドル派のベルギーの画家である。(子)と記載されているのは同名を持つ父と区別するためである。
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