作品概要
《狩場のチャールズ1世》は、画家のアンソニー・ヴァン・ダイクによって制作された作品。制作年は1635年から1635年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

『狩場のチャールズ1世』はアンソニー・ヴァン・ダイクが1635年に制作した油彩画である。現在フランスのルーブル美術館に所蔵されている。この作品では、英国のチャールズ国王1世が狩りに出て一休みしているところが描かれている。
青空、海、森のある自然の中で、チャールズ1世が市民風の服を身につけ自然体でリラックスした、それでいて優美な姿が描かれている。その他の登場人物として2人の家来と白い馬が描かれている。
偉大なる師匠ルーベンスの工房で学んでいたヴァン・ダイクは、ルーベンス流の暗めの背景で、顔を30度の位置に向け、目線だけ画家の方を向ける人物を描く肖像画を主流としていた。しかしこの作品を機に、からだの向きと視線の方向は自由に描かれ、また明るく華やかな色彩が大きな特徴である。この作品では、チャールズ1世は従来のように中央ではなくやや左側の位置に立っている。からだは雄大な海の景色を見るように海側に向けたまま、目線は突然画家が現れたのかのごとく、画家の方に向けられている。
後ろの家来はチャールズ1世と同じくからだと視線を海側に向けている。そのやや右側にいる家来は白い馬を支え、他の人たちと全く関係ない右上の方向に視線を向けている。白い馬は頭を下げまるでチャールズ1世に敬意を払い、お辞儀をしているかのようにも見える。
チャールズ一世は大きな黒い帽子をかぶり、右手にはスティック、左手は腰に当てたまま皮手袋を持ち、耳にはティアドロップ型のイヤリングをしている。華やかで明るい色彩はイタリアで修業したヴァン・ダイクが、ティツィアーノなどの描くヴェネツィア派の絵画から影響を受けたともいわれる。
所蔵されているルーブル美術館ではこのチャールズ1世の姿を「紳士的でいて、無関心さと王の堂々とした確信的姿で、その間を微妙に妥協したように立ち振る舞っている」としている。チャールズ1世は支払いの悪さに定評があり、ヴァン・ダイクはこの作品に対し200ポンド要求したが、チャールズ1世は100ポンドしか支払わなかったとされている。
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