作品概要
《大公の聖母》は、画家のラファエロ・サンティによって制作された作品。制作年は1505年から1505年で、パラティーナ美術館に所蔵されている。

《大公の聖母》はイタリアルネサンス盛期のラファエロによって描かれた。ラファエロがフィレンツェに到着してすぐに1505年に描かれたとされている。そこで知ることになったレオナド・ダ・ビンチの影響が「スフマート」の手法を通して見受けられる。
数々の聖母の原型
この作品の構図はラファエロが描くことになる数々の聖母の原型ともいえる。暗い背景に浮かび上がる聖母と幼子イエスは、明らかにレオナルド・ダ・ヴィンチに影響を受けている。
幼子イエスは、母の胸元と肩にその手を置き、しっかりと見物人を見つめている。また聖母マリアはその温もりを感じながら、優しい母の表情をしている。聖母子の姿が、優しい情愛に満ちたものであり、いかに完璧に安定感を見る人々に与えるか、まさにラファエロの聖母子像である。
再発見
この作品は、描かれてから実に300年近くその存在が美術史上から消えていた。しかしナポレオン軍がイタリアに攻め入った18世紀末、突如として歴史の記録に現れた。
名前の由来であるトスカーナの大公フェルディナンド3世は、1799年のナポレオン侵攻により治世の中断を余儀なくされたが、最中も肌身離さずこの作品を持ち歩くほど愛したことから「大公の聖母」と名づけられた。
しかし、フェルディナンド3世の手に渡るまで本作品がどこに置かれていたのか、誰の注文により描かれたのかは一切分かっていない。
塗り替え
そして近年の調査で、ラファエロの死後に背景の黒とドレスが塗り替えられていたということが判明したが、この作品が若きラファエロの描いた最高傑作の一つであることは変わらない。
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