作品概要
《パイプ、グラス、ヴィユ・マールの瓶》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1914年から1914年で、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館に所蔵されている。

「パイプ、グラス、ヴィユ・マールの瓶」は総合的キュビズムの時代の作品であり、1914年春に制作された。
総合的キュビズムでは、分解された対象を平面的に再構築する。単調な色彩の分析的キュビズムとは異なり、装飾的で色彩豊かである。作品には、壁紙や新聞紙など既成の素材を画面に貼り付ける「パピエ・コレ」という技法が用いられている。「パピエ・コレ」では対象の物質的次元を強調したうえで、対象が作品の平面的空間に融合しているように見せる。
ピカソは、壁紙や未来派主義者の雑誌「ラチェルバ(Lacerba) 1914年1月1日版」(1913年イタリア・フィレンツェにて創刊)、壁紙などを貼り付け、作品を構成している。作品では、空間的尺度が曖昧で定まっていない。チョークで輪郭線が描かれた透明な平面図形が新聞紙に突き刺さっているように見える。ギターは、透明な平面図形に影を落としている。
パイプとテーブルの脚は切り抜いた紙を貼り付けている為に輪郭線が明確になり、キャンバス右下にあるチョークで描いた線により立体感が与えられている。グラスの後ろにギターが描かれ、ギターの一部は透明であり、ギターを通して雑誌「ラチェルバ(Lacerba)」が見える。
ギター、グラスなどにある鉛筆書きの描写は、ペーストペーパーの形状を無視している。また、ギターにより、ヴィユ・マールの瓶の輪郭は不完全となっている。テーブルは、壁と平面図形の間にある。コラージュされたテーブルの角は壁紙の一部と重なり、テーブルの脚はすそ板の一部を覆い隠している。テーブルの天板(表面)は平面図形と平行に描かれている。
現在、「パイプ、グラス、ヴィユ・マールの瓶」は、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(アメリカ・ニューヨーク州)にて展示されている。
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