作品概要
《トカゲに噛まれた少年》は、画家のミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオによって制作された作品。制作年は1594年から1596年で、ナショナルギャラリーに所蔵されている。

2つの作品
「トカゲに噛まれた少年」とは、イタリアバロック式の画家であるカラバッジョによって描かれた絵画である。この絵には2つのバージョンが存在し、1つはフローレンスのフォンダシオン・ロベルト・ロンギに、もう1つはロンドンのナショナルギャラリーに保管されている。
2つのバージョンの差異は、非常に小さいものに収まっており、2つのバージョンは、1594年から1596年までの間に描かれたとされている。
モデルの論争
《トカゲに噛まれた少年》の中で描かれている少年のモデルについては、いくつかの説があるが、有力なのはこの絵のモデルが、カラバッジョの友人であったマリオ・ミニティであるという説である。
絵の中に描かれている少年の縮れた黒髪や唇が、マリオをモデルにしたとされる他の作品(「女占い師」や「果物籠を持った少年」)に登場する少年に似ているのだ。しかし、学者のミカエル・フライドは、《トカゲに噛まれた少年》のモデルは姿を変えたカラバッジョ自身だと主張する。絵の中の少年の伸びた右手と上にあげた左手が、画家がパレットをもって絵を描いている姿に似ているからだという。
主題
また、《トカゲに噛まれた少年》のテーマについて、本作は神を殺す毒トカゲがテーマであったアポロ・サウロクトノスに由来していると、レオナルド・J・スラケスは述べている。
本作は、恐怖と驚愕の、どちらもが混在する瞬間を描いており、日常の一瞬の動きを切り取っていると言える。この絵がカラバッジョの初期の作品の中で意味があるものとされているのは、カラバッジョの他の作品である「果物の皮を剥く少年」や「病めるバッカス」のように、静止したモチーフを描いたのではなく、一瞬を切り取った、動きの感じられる絵であるからである。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。