作品概要
《バッカス》は、画家のミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオによって制作された作品。制作年は1595?年から1595?年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

『バッカス』はイタリアのバロック時代の巨匠、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオが最初の重要なパトロンであったデル・モンテ枢機卿の元で過ごし始めてすぐに描かれた作品で、枢機卿の人道的な関心の影響が見られる。
枢機卿が亡くなった際、そのコレクションには残っておらず、フィレンツェの大公への贈り物だったのではないかと推測されている。ウフィツィ美術館の保管室で発見された1913年まで、その存在は明らかではなく、目録に記録されたことも額に入ったことすらなかったとされる。
作品には、ゆったりと身に纏ったローブの引き紐を指でおさえ、葡萄とその葉を髪に差す古代ローマ時代を彷彿させる若き日のバッカスが背にもたれてかかる様子が描かれている。彼の前方の石のテーブルの上には籠いっぱいの果物と大きな赤ワインのカラフが置かれている。
ワインが入った浅いゴブレットを持った左手は鑑賞者に向かって伸び、鑑賞者を誘うかのように見える。このワインを差し出す左手の様子から、カラヴァッジョは絵を描く際に、必要にかられ、鏡を使っていたのではないかという論もある。つまり、私達にとって左手のように見えるこの少年の手は、実際には彼の右手だったのではないか、と推測されている。
この論説は、カラヴァッジョの初期の伝記を残し、同時代のアーティストでもあったジョヴァンニ・バリオーニが残した「カラヴァッジョは幾つかの初期の作品の制作に鏡を使用した」という文言と一致する。
バッカスのモデルは、『音楽家たち』でもモデルとなった友人、マリオ・ミンニーティである。
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