作品概要
《メデューサ》は、画家のミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオによって制作された作品。制作年は1596年から1597年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

カラバッジョは2つのバージョンの「メデューサ」を、それぞれ1596年と1597年に描いている。初めて描かれた方のバージョンについて、作品の完成と同時代に活躍していた詩人であるGaspare Murtolaは「驚嘆を前に目を離せなくなってしまったら、逃げたほうがいい。彼女はお前を石にかえてしまう」と言葉を残しており、そのことから初めて描かれた方のバージョンは、「メデューサ」ではなく「Murtola」と呼ばれることもある。
大きさは48cm×55cmで、個人によって所有されている。2番目に書かれた方のバージョンは、1つ目より若干大きく(60cm×55cm)、サインが施されていない。現在はウフィツィ美術館に展示されている。1つ目のバージョンが、2つ目より若干小さかったことから、模倣されて描かれていたのではないかとされていたが、近年のX線解析により、本物のカラバッジョ作品であると証明された。
ギリシャ神話の中で、英雄ペルセウスは無数の蛇でできた髪を持つゴーゴンのメデューサの首を盾として使い、敵を石にかえていったという。16世紀には、メデューサというモチーフは「センスに対する理性の勝利の象徴」として考えられており、そのことから、カラバッジョのパトロンであるカーディナル・デル・モンテが、このメデューサをカラバッジョにトスカーナの公爵に進呈する儀式盾に描かせたのではないかといわれている。
また、詩人のマリーノは、盾に描かれたメデューサは公爵が勇敢に敵を打倒していったことを象徴しているという。儀式盾に描かれた「メデューサ」は凸状の丸い面に描かれており、そのことからメデューサの蛇髪はより宙を舞っているように感じられ、首から滴り落ちる血液は、凸に沿って滴っているように見える。
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