作品概要
《老人の肖像画》は、画家のエル・グレコによって制作された作品。制作年は1595?年から1600?年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

『老人の肖像画』は、クレタ島出身の画家エル・グレコの油絵。1900年以来、この老人はグレコの自画像なのではないかという説が度々論じられてきた。
この老人がグレコ本人であるという確たる証拠はない。しかし、グレコはその宗教画において、自身を何度か脇役として登場させていることが知られている。これらの人物画とこの老人の姿には確かに共通点はあるものの、宗教画の方に描かれたグレコらしき人物はもっと男らしく、また白髪で白い髭を蓄えている。
グレコが肖像画に描く人物は、グレコが個人的に親しくしており、十分に感情移入できその人物像に対して興味を持てる人たちである。グレコの率直で自然体、かつ心に迫るような洞察を感じさせてくれる肖像画群は、いつの時代でも大いに評価されてきた。18世紀にグレコの作品が不評になったときですら、肖像画については賞賛されていた。
この絵が描かれたのは1590年代だという説が有力である。1595年から1600年という説が最も多く提示されている。スペインの衣装の専門家は、絵画に描かれた老人が着ている服のひだ襟の幅から1590年代という説を唱えている。しかし、同じような衣装は1580年代の『オルガス伯の埋葬』にも描かれている。いずれにせよ、議論の的となっている年代においてはグレコはまだ60代にもなっていない。
この肖像画は、スペインの郵便切手として復元され長い間親しまれている。また2014年にはグリークキプロスでも発行された。グレコの学術研究論文においても初めての論文から最近のものにまでこの肖像画は使用されている。
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