作品概要
《第五の封印》は、画家のエル・グレコによって制作された作品。制作年は1608年から1614年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

『第五の封印』はトレドのタベラ施療院のサン・ファン・バウティスタ礼拝堂の祭壇のためにエル・グレコの晩年の亡くなる一年前に描かれた。 1908年前、本作はキリスト教での不敬な愛を描いていると言われていた。現在、絵が保管されているメトロポリタン美術館ではこの作品は未完成であり、損傷がひどく、削れている箇所も多々有ると解説している。
本作はヨハネの黙示録 6章9~11の記述に基づく描写で、宗教的恍惚状態の聖ヨハネは天を仰ぎ、背後には天に向かって叫ぶ殉教者たちの魂が描かれている。彼らは救いの白いローブを受けとるように混沌の中で嵐に悶えている。
本作の上部は1889年に破壊され、切り取られている。この失われた上部は、エル・グレコが描いた別の祭壇画に似ていた可能性があり、同教会のためにエル・グレコ製作した『天使の音楽会』も同様に切断されている。行方不明の上部が神の愛を描写し、現存している下部は、キリスト教での不敬な愛を描いていると言われている。
19世紀には、本作は、スペインの首相であるアントニオ・カノバス・デル・カスティーリョが所有していた。本作が未完成であることと、保存状態の悪さに不満を持ち、彼は1880年のあたりに復元した。修復師は福音伝道者ヨハネを残して少なくとも175cm画面を切り取った。
それは修復と無関係な作業であり、その不合理性は現代の鑑賞者に興味を与え、そして後に20世紀初頭のモダニズム界でピカソなどの絵画の発展に貢献した。カノバスの死後1897年に、本作はエル・グレコ研究で欧州での関心の復活に貢献した画家であるイグナシオ・スロアガに千ペセタで売却された。その後、1956年には、スロアガ美術館は
、現在、展示されているニューヨーク市のメトロポリタン美術館にこの作品を販売した。
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