作品概要
《オルガス伯の埋葬》は、画家のエル・グレコによって制作された作品。制作年は1586年から1588年で、サント・トメ教会に所蔵されている。

『オルガス伯の埋葬』はエル・グレコが1586年から1588年にかけて完成させた油絵。その芸術性の高さからグレコの代表作、また最高傑作として広く知られている。縦幅4メートル超、横幅3メートル超の巨大なキャンバスに描かれている。
画面の下部に現世を、上部に天界が表現されている。現世ではドン・ゴンサロ・ルイス伯爵の埋葬が、多くの参列者に見守られながら執り行われている。伯爵の遺体は聖ステファノと聖アウグスティヌスにより葬られているが、これは1312年にあった伯爵の埋葬の際に、天上からこの二聖人が舞い降りて自ら埋葬したとの伝説に基づく描写である。
上部の天界には最上部のキリストに始まり、中央右にバプテスマのヨハネ、中央左に聖母マリアを配している。他にも上部には聖ペテロ、聖トマス、モーゼなどの聖人も描かれているとされている。キャンバスに所狭しと描かれた多くの人物像の他には地平線や空の描写も存在しない、グレコ独特の表現方法をとっている。
下部の現世の人物画はほぼ等身大で描かれており、描写された参列者たちは当時実在したトレドの有力者たちだと言われている。また、二聖人の左(聖ステファノ)の後ろにいて正面を向いている参列者はグレコ本人、聖ステファノの横にいる少年はグレコの息子であるホルヘ・マヌエルと言われる。
天上界の登場人物たちの中でも際立っているのがキリスト、聖母マリア、聖ヨハネであるが、キリストを頂点に三角形を描くように配置されている。これは正教会におけるビザンティン美術のイコンの伝統的なデザインである。
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