作品概要
《ソーニャ・クノップスの肖像》は、画家のグスタフ・クリムトによって制作された作品。制作年は1898年から1898年で、オーストリア絵画館に所蔵されている。

「ソーニャ・ニクスの肖像」は、クリムトによる油彩である。本作は、ベルギーの芸術家、フェルナン・クノップフのためのスタイル記録または参考資料のために描かれたものである。
ソーニャは、ウイーンのエリート階級の女性で、彼女の夫と共に、ウイーン工房の活動に熱心に尽くした人物である。ウイーン工房とは、建築家、ヨーゼフ・ホフマンと、デザイナーであるコロマン・モーザによって設立された工房であるが、後に、「ストックレー・フリーズ」壁画が描かれた舞台である、ストックレー邸を設計した建築家こそ、ヨーゼフ・ホフマンなのである。2人の関係はストックレー・フリーズ製作開始から20年近くも遡って始まっていたと言える。
本作では、ソーニャの無機的で強い眼差しを持った表情と、ピンクで柔らかく、女性的な印象のドレスが醸し出す違和感が注目される。この対局をなす2要素による鮮烈な対比、腰掛の希薄な存在感、手に持たれた書籍の赤い背表紙の印象深さ、顔の周囲に配された花々、それらすべての要素が、「黄金の時代」の到来を予期させるものとなっている。
こうした観点から、本作はクリムトのターニングポイントにあった作品と言えるだろう。この作品は、ウイーン社会の女性たちの肖像画を描いたシリーズの初期の作品であり、本作をもって、クリムトはウイーンの裕福な上流市民階級の肖像画画家としての地位を確立したと言っても過言ではない。
この後、クリムトが描き出す強い自覚・意思を持った女性の眼差し、こと、市民階級の女性の姿が、ここに見て取れるのである。
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