作品概要
《ウルビーノのヴィーナス》は、画家のティツィアーノ・ヴェチェッリオによって制作された作品。制作年は1538年から1538年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

主題
本作で描かれている若い裸体の女性はヴィーナスの女神だと言われていて、ルネサンス様式の宮殿で豪華なものに囲まれてソファもしくはベッドにもたれかかっている。
ポーズ姿はティツィアーノ・ヴェチェッリオが完成させたジョルジョーネの《眠れるヴィーナス》が基になっており、ティツィアーノ・ヴェチェッリオはヴィーナスを室内の設定へ移動させることによって家庭的なものにし、見る者を魅了し彼女の官能性を明白に表現した。
古典的で寓話的な象徴はなく、ヴィーナスは表現されるべき女神の象徴は全く表現されていない。
色情的な作品
この作品は、悪びれることもなく色情的なものだ。このヴィーナスは、見る者の方を真っ直ぐ見ていて、裸である事に無関心な様子だ。右手に薔薇の花束を持ち、性器を左手で覆っている。近くにいる犬は、よく貞節の象徴とされる。
来歴
この作品は、ウルビーノ公グイドバルド2世・デッラ・ローヴェレから依頼されたもので、おそらく1534年の結婚を祝うためであった。イタリアでは伝統的な結婚の贈り物とされるカッソーネという蓋つきの箱の装飾として元来描かれたようだ。この作品を若い花嫁のジュリア・ヴァラノへの教育的な手本にするつもりだった。
作品のモデルは、アンジェラ・デ・モーロというベニスの高級売春婦だと言われている。1863年にエドゥアール・マネが描いた《オランピア》は本作品に影響を受けた一つである。
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