作品概要
《エジプトへの逃避》は、画家のジョット・ディ・ボンドーネによって制作された作品。制作年は1315年から1320年で、サン・フランチェスコ聖堂に所蔵されている。

『エジプトへの逃避』はジョット・ディ・ボンドーネが1315年に創作を始め、1320年頃に完成させたと言われているフレスコ画作品である。ジョットは同じ名前と主題の作品を二枚も作成しており、それぞれパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂とアッシジのサン・フランチェスコ聖堂にて保管されている。この説明はアッシジのサン・フランチェスコ聖堂にて所蔵されている『エジプトへの逃避』に関するものである。
『エジプトへの逃避』もジョットの多くの作品と同様に、バイブルに書かれている物語を主題として創作されている。絵に書かれている物語は聖徒ヨセフが天使から伝言を告げられ家族と共にエジプトから逃げ去る様子である。
この作品の構図はとても興味深いものであり、地面からの重力もしっかりと表現されている。絵の中にいる人物は皆しっかりと重力の束縛によって地面に引きつけられており、動きに重みを感じられるように描かれている。このような構図によって絵を見る人々は聖徒ヨセフらが進行するペースがとても遅いものだと感じるようになる。
『エジプトへの逃避』の作画スタイルはジョットが人間味のないビザンチン様式のスタイルから離れ、芸術を新たなる領域に導く姿勢がみられる。ビザンチン様式の絵では人物は皆同じ形体をしており、人物内の交流もなく、それぞれ独立したキャラクターとして描かれている。ジョットが取り入れた新たなスタイルは人間の自然な動きや形に注目し、それぞれに違う特徴をもたらせ、描かれている人物達にもある程度の交流が見られるようになった。このような作画スタイルは後々主流となるルネッサンス期の芸術と似たような傾向となっている。”
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