作品概要
《東方三博士の礼拝》は、画家のジョット・ディ・ボンドーネによって制作された作品。制作年は1304年から1306年で、スクロヴェーニ礼拝堂に所蔵されている。

『東方三博士の礼拝』はイタリアの画家ジョット・ディ・ボンドーネが描いた、最も美しいと言われているフレスコ画作品の1つである。この作品はジョットの多数の作品とともに、イタリアパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂にて所蔵されている。
保存状態のよいジョット作品
ジョットが描いたフレスコ画作品の多くには破損が見られるが、この作品の保存は比較的良い物である。『東方三博士の礼拝』はイエス誕生の一幕を主題としており、東方の三博士及び幼児時代のイエスなどが登場する。
『東方三博士の礼拝』内では聖母マリアが幼児のイエスを東方三博士に手渡している光景を、聖徒ヨセフ及び少なくとも一人以上の天使が周囲にて見守っている。ジョットはキャラクター達の立場や地位などを考慮しながら作画しており、作品内に描かれている2匹のラクダとそのハンドラー達は、この絵の中で唯一頭上に円光が付けられていないキャラクターである。
背景の天空上に渡る彗星は、訪問者の人々をイエス聖誕の地へと導く目印と言う意味合いで書かれている。
ジョットは彼の記念碑的なスタイルを使い、『東方三博士の礼拝』をエピファニーとして完成させている。エピファニーとは人物の人生を変えるような代表的で重要な一幕やエピソードのことを表す単語である。作品をエピファニーに仕立てることによって、絵を眺めている観察者は真実の目撃者となり、キリスト教の信仰を保ち、聖書に書かれている物語の信憑性を疑うことなく信じられるようになる。
描かれたハレー彗星
本作には、彗星のようなベツレヘムの星が夜空を横切っている様子が描かれている。この彗星はジョットが実際に見た1301年のハレー彗星をもとに描いたといわれており、1986年にハレー彗星の観測用に打ち上げられた探査機ジョットはこの絵画にちなんで命名された。
天文学者たち
「博士」あるいは「賢者」と訳される言葉「マーゴイ」の原義は、天文学者であったようである。三博士の名は、西洋では7世紀から次のような名が当てられている。
メルキオール(黄金。王権の象徴、青年の姿の賢者)、バルタザール(乳香。神性の象徴、壮年の姿の賢者)、カスパール(没薬。将来の受難である死の象徴、老人の姿の賢者)。シリアのキリスト教会では、ラルヴァンダード、ホルミスダス、グシュナサフが対応しており、ペルシア起源を強くほのめかしているが(例:ホルミスダス=アフラ・マズダー)、真偽は定かではない。
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