作品概要
《イザベラ・コイマンスの肖像》は、画家のフランス・ハルスによって制作された作品。制作年は1650年から1652年で、個人蔵に所蔵されている。

イザベラ・コイマンス
イザベラは裕福な生地屋の娘として生まれ、一族も商人、銀行家としてそれぞれに成功していた。1644年にハールレムの摂政であったステファヌス・へラールツの妻となった。
ハルスは2人の婚礼の記念として肖像画を描いたが、手がけた多くの夫婦の肖像画と異なり、イザベラは夫がいる方へ上半身を向けてバラの花を差し出している(肖像画の花は半分しか描かれていない)。
際立ったイザベラの姿
彼女は立った姿で描かれ、もう一枚に描かれた夫は妻の目を見つめて椅子に腰かけ手袋を脱いだばかりの右手を妻の方に伸ばした姿で描かれている。
この一対の肖像画が特に際立っているのは、ハルスが描いたイザベラの姿であった。今まで描かれた夫婦の肖像画に描かれた妻の姿は首までボタン掛けた服を着て、髪も当時女性が被っていた帽子を身につけていた。
しかしイザベラは髪の毛を自然に伸ばした様子に描かれ、普段着の、少し深めの胸の開いたものを着ている。また、表情も愛情を示した生き生きとした笑顔となっている。恐らく自然に描く様にコイマンス家からの注文だったと思われる。
来歴
本作は、1989年の国際フランス・ハルス展カタログの表紙を飾った事でも知られている。他の夫婦の肖像画同様、現在2人の肖像画は別々の場所にある。
イザベラの肖像画は個人蔵となっており、夫ステファヌス・へラールツの肖像画はアントウェルベン王立美術館に所蔵されている。
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