作品概要
《ジプシーの女》は、画家のフランス・ハルスによって制作された作品。制作年は1628年から1630年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

ハルスは、目視出来る筆跡を使う技に長けていた。表面上ハルスの筆さばきは、まるでわざとそこに絵の具を「置いた」様に見えるが、描いた人物と空間を見事に調和させている。その無造作に書きなぐられた様な筆跡は人物に活力を与えており、下絵や下地は省いて描かれた事が多かった。
とは言え当時の画家同様、ハルスも幾度となく絵の具を重ね塗りしていた。下地の灰色もしくはピンク色の上にチョークもしくは絵の具でデッサンを行い、段階的に色を重ねて描いていた。彼は生まれつきの才能を持ち合わせていた。これはしばしば、晩年に描かれた風俗画に発揮されている。
「ジプシーの女」はモデルは特定出来ないが、注文を契機に制作されたのではなく、興味を惹かれた人物をハルスが自主的に選択しモチーフとして描いた作例と考えられる。
ハルスが偉大だと言われるのは、細部にこだわらず、あくまで大胆に、そして必要以上に絵の具を重ね塗りせずに作品を描いた事だ。当時のオランダ画家、ルーベンスやファンアイクの影響を受けているとも思われているが、ハルスはなだらかに表面に仕上げる事は無く、絵の具を塗り付けたり、線や点もしくは色を置く、という技術を用いて、人物に生き生きとした表情を与えた。
これは後にモネ、マネやゴッホにも多大な影響を与えた。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。