作品概要
《万国公会議》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1958年から1960年で、ダリ美術館(フロリダ)に所蔵されている。

『万国公会議』はダリ54歳の作品である。シュルレアリスムから原子核的神秘主義、キリスト教、ルネサンス美術へと関心が移っていたダリは、その崇高なテーマにふさわしい大作を描きたいと考えていた。1958年教皇ヨハネ23世が就任し公会議開催の意向を公表したことに触発され本作品を描き始める。教派を超えたキリスト教の司教が全世界から集まり、キリスト教会のあり方を根本から見直す動きに感銘を受けたのである。
タイトルの『万国公会議』は1958年教皇ヨハネ23世の戴冠への敬意が示されている。画面の左下にはキャンバスに絵筆を走らせるダリの自画像、中央下にポルトリガトの守護聖人聖ヘレナの姿のガラ。アメリカから帰国後、ダリと別居し奔放な生活を続けるガラへの思いを神格化させたといわれている。
画面の一番上には右手を高く上げ左手で顔を隠している「父」、その左には十字架を手に持つ「キリスト」、右には白い鳩が頭上にいる「聖霊」。三位一体の像とガラの間には教皇の戴冠式の様子が描かれている。背景の岩石海岸はおなじみ故郷スペインの風景であり、ダリの愛国心も垣間見える。
この絵が完成する1960年、教皇ヨハネ23世はキリスト教史上初めて英国国教会大司教と面会、ダリはこのニュースに熱狂したという。シュルレアリスムの技法を使った写実的な美しい描画が、ダリの敬虔な信仰心と全キリスト教会の一致への賛美と希望を感じさせる大作である。
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