作品概要

死んだ兄の肖像》は、画家のサルバドール・ダリによって描かれた作品。制作年は1963年から1963年で、ダリ美術館(フロリダ)に所蔵されている。

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『死んだ兄の肖像』はダリが59歳の時に描かれた作品である。

わずか1歳8か月で病死した兄との関係はダリの人生に大きな影響を与えた。兄の死で悲嘆に暮れていた両親は兄の名前サルバドールをそのまま9か月後に生まれた弟の名前とした。ダリが5歳の時には兄の墓前に連れていき、ダリに兄の生まれ変わりであるとさえ告げている。両親はダリに愛情をなが注ぎらも、亡き兄への追慕の念と切り離すことはない。その事実は幼いダリを混乱させ苦しめた。生まれ変わりであるならば、今ここに存在する自分は何なのか。ダリはいつか復活した兄に取って代わられ、代わりに自分が墓の中で朽ちていく「朽ちた死体のイメージ」に取りつかれたり(これはのちにダリの作品にも登場するようになる)、承認欲求から奇行を繰り返すようになる。

本作品で「死んだ兄」は亡くなった幼少期の姿ではなく、大人の姿をしている。ダリが兄を自分の分身と考えていたためである。

天国から暗い色と明るい色の2色のチェリーが降ってきて、兄の肖像が浮かび上がる。ダリによると「ここではチェリーは分子を意味する。暗い色のチェリーは死んだサルバドール(=兄)の顔を作り、明るい色のチェリーは生きているサルバドール(=自分)の顔を作っている」これは兄弟の肖像なのである。顔の中央あたりには茎を分け合う2色のチェリーがあったり、2色のチェリーが1つの混ざりあっているところもある。

一方、絵の右下の方では兵士たちが槍で暗い色のチェリーを払いのけている。ダリの兄は死してなお、ダリのイメージのなかに払拭できないまま居座り続け、ダリの作品に様々なテーマであり続けたのである。ダリはこう述べている。「私は毎日気の毒な兄のイメージを殺す…「神聖なるダリ」はこの平凡な人間とは何の共通項もないからだ。」

基本情報・編集情報

  • 画家サルバドール・ダリ
  • 作品名死んだ兄の肖像
  • 制作年1963年-1963年
  • 製作国不明
  • 所蔵ダリ美術館(フロリダ)
  • 種類キャンパスに油彩
  • 高さ175cm
  • 横幅175cm
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