作品概要
《牛群の帰り》は、画家のピーデル・ブリューゲルによって制作された作品。制作年は1565年から1565年で、美術史美術館に所蔵されている。

6作品の連作
1565年に制作された《牛群の帰り》は、全6作品の連作月暦画であり、うち1作品は消失している。
早春を描いた《暗い日》、夏の《干し草の収穫》、秋の《穀物の収穫》、晩秋を描いた本作、そして冬を描いた《雪中の狩人》の5作品は、現存している。
移動する牛たち
作品では、牛群が丘の上にある村へ向かって移動する様子が描かれている。牛群は、夏場を牧草地で過ごし、秋から冬に掛けて村へと戻ったあと、村にある小屋にて越冬する。
牛追いは長い竿を使い、牛群を追い立てている。牛追いに続く男性は馬に乗り、男性3人を従えている。ブリューゲルは、細筆にて下絵を描き、下絵に沿って油絵具が薄く塗られている。
ドライブラシという技法
木の枝など風景描写には、ドライブラシ(渇筆)と呼ばれる技法を用いて、ぼかし効果を表現している。キャンバス全体は、薄茶色のゲッソ(彫刻用石膏の下地)により下塗りされており、前方は濃茶色の色調となっている。
また本作は、連作月暦画であるため、各作品では1年のうち2ヶ月における日常生活が主題とされる。《牛群の帰り》では、主に11月の光景が描かれている。
来歴
ブリューゲルは、ベルギー・アントウェルペンの商人ニコラス・ヨンゲリンクのために、《牛群の帰り》を含めた連作月暦画6作品を制作した。作品は、ニコラス・ヨンゲリンク邸宅のダイニングルームに飾られていたと思われる。
現在、《牛群の帰り》は美術史美術館(オーストリア・ウィーン)にて展示されている。
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