作品概要
《盲人の寓話》は、画家のピーデル・ブリューゲルによって制作された作品。制作年は1568年から1568年で、カポディモンテ美術館に所蔵されている。

作品では、新約聖書「マタイによる福音書 15章14節」が主題となり、「盲人の寓話」を表現している。盲人が同じ盲人を導くことで両者共に穴へ堕落するという寓話である。
ブリューゲルは、角膜白斑、眼球萎縮、眼球除去など外見が損なわれた盲人6人を描いている。盲人6人は列をなして、教会がある街へと続く道を歩いている。列の先頭にいる男性は、溝に背中から倒れている。
盲人6人は旗竿にて繋がれている為、2番目を歩く男性は先頭の男性に引き摺られ、倒れかけている。男性の両目は、まぶたに沿って、くり抜かれている。この2人の男性は身なりが良く、農民以上の階級であると解釈できる。
3番目を歩く男性は、すねあてを付けている。顔は空を仰ぎ、両目は角膜白斑と考えられる。膝は曲がり、爪先立ちである。旗竿により、2番目の男性に続き、3番目の男性も転倒することは想像できる。
4番目を歩く男性は眼球が萎縮し、5番目の男性は光感覚が失われている。
6番目の男性は、天疱瘡(皮膚に大小の水泡が生じる疾患)対角線上に盲人の列を配置し、後方では危険を予知せずに導かれるままに歩く姿、前方では危険が振り掛かる直前の恐怖・不安におびえる姿を描写している。
また、灰色、緑色、赤褐色、黒色といった色彩の組み合わせにより、作品がもつ悲痛・悲嘆さが強調されている。作品は、ディステンパー画法(テンペラ画法)にて描かれている。テンペラ(乳化作用を持つ物質を使用した絵具)では、キャンバスの損傷は激しくなる。
しかしながら、テンペラを用いて制作された作品のなかでは、保存状態は比較的良いといえる。現在、「盲人の寓話」はカポディモンテ美術館(イタリア・ナポリ)にて展示されている。
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