作品概要
《農民の踊り》は、画家のピーデル・ブリューゲルによって制作された作品。制作年は1568年から1568年で、美術史美術館に所蔵されている。

「農民の踊り」は晩年の作品であり、1568年に制作された。巨大な人物描写などイタリア絵画のモニュメンタル的な構成が特徴的である。
作品では、諸聖人の日(全ての聖人と殉教者を記念する日)に、農民がお祭り騒ぎする様子が描かれている。キャンバス右に描かれている木には、聖祭の象徴である聖母マリアの絵画が掲げられている。しかしながら、農民は教会に対して背を向け、夢中で踊っている。農民は誰一人として聖母マリアの絵画に気付いていない様子である。農民が、精神的事柄よりも物質的事柄に心を奪われていることが明らかである。
「農民の婚宴」と同様に、ブリューゲルは、道徳感覚(道徳的戒め)を加えて農民の生活を描写している。作品では、農民の暴飲暴食、情欲・渇望、憤怒が表現されている。また、キャンバス左には、バクパイプ奏者の隣に座る男性が描かれている。男性は、孔雀の羽がついた帽子を被っているが、孔雀の羽は虚栄心と自尊心の象徴である。ブリューゲルは「婚宴の踊り」(1566)、「農民の婚宴」(1567)、「農民の踊り」(1569)を三部作として描いていたと考えられている。
なお、一部の専門家は、制作時期やサイズが同じであることから、「農民の婚宴」と一対であったとする説が唱えられている。現在、「農民の踊り」は美術史美術館(オーストリア・ウィーン)にて展示されている。
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