作品概要
《怠け者の天国》は、画家のピーデル・ブリューゲルによって制作された作品。制作年は1567年から1567年で、アルテ・ピナコテークに所蔵されている。

「怠け者の天国」は寓意的作品であり、1567年に制作された。作品では、中世の理想郷「Cockaigne(コケイン)」が題材となっている。コケインは、贅沢と怠惰を目的とした架空の世界であり、フランス語の「païs de cocaigne(満ち足りた土地)」に由来するといわれる。
ブリューゲルは、聖職者、農民、兵士が、テーブルの下に寝そべっている様子を描いている。聖職者の本、紙、インクとペンは未使用状態である。同様に、農民の殻ざお、兵士の槍と装甲手袋も真新しい。聖職者、農民、兵士は、働くことなく、木陰でまどろんでいる。卵の殻は半分だけ食べかけられ、農民と聖職者の間に転がっている。食べかけの卵は、精神性の不毛を象徴している。テーブルは木の幹に固定され、テーブルの上には食べ終わった皿やコップが残されている。木の後方には、ソーセージの束で作られた柵が立っている。キャンバス左側では、騎士が差仕掛け屋根の下で口を開けながら、飛んでいる鳩が焼鳩になるのを待っている。
差仕掛け屋根は、パイとペストリーがのった皿で覆われている。これは、豊富で有り余ることを意味している。キャンバス右上では、男性がスプーンで掬い食べながら、プディングのような大きな雲から抜け出している。雲の下には、銀の皿があり、ローストチキンが盛り付けられている。焼豚(豚の丸焼)には、皮を剥ごうと腹にナイフが突き刺さっているが、既に決められていることを意味している。
また、キャンバス内には、食べ掛けのチーズやパンも描かれている。現在、「怠け者の天国」はアルテ・ピナコテーク(ドイツ・ミュンヘン)にて展示されている。
あ
2021年4月14日 8:21 pm, ID 41937