作品概要
《バベルの塔》は、画家のピーデル・ブリューゲルによって制作された作品。制作年は1563年から1563年で、美術史美術館に所蔵されている。

《バベルの塔》は、1563年に制作されたブリューゲルの代表傑作。謝肉祭や四季の景色など農民の風俗を描いて「農民ブリューゲル」と呼ばれた画家にとっては珍しく聖書の物語を題材としており、旧約聖書「創世記」11章1-9節が主題となり、地上にいる単一言語を話す単一民族・人間によってバベルの塔が建設される場面が描かれている。
旧約聖書の伝説の塔
バベルの塔は、旧約聖書「創世記」11章1-9節に記されている伝説の塔である。聖書によれば、ノアの洪水後に驕り高ぶった人間が天まで届くバベルの塔を築きはじめ、そのことに怒った神が人間の言葉を混乱させ、塔の建設を中止させた。
私たちが現在、異なる言葉を話している原因はこのバベルの塔にあるとされ、また人間の科学技術に対しての過信を戒めているという解釈もある。
ブリューゲルは、古代ローマ帝政期の円形競技場であるコロッセオ(コロシアム)をモデルにして、バベルの塔を描いた。ブリューゲルと同世代の画家ルーカス・ヴァン・ヴァルケンボルクをはじめとして、バベルの塔はしばしば画題として好まれ、多くの画家によって描かれてきた。
傲慢、迫害、混乱の象徴とされるバベルの塔は、アーチ状の建築でありながら、同時にらせん状にそびえ立つ塔は不安定な形状となっている。塔の基盤となる下層部が未完成である一方で、上層部の建設が始められており、塔の建設が成功しないことを予期している。
またキャンバス左下には、灰色のマントを身に纏ったニムロデ王が描かれている。ニムロデは旧約聖書に登場する王で、バベルの塔の建設を指示したとされ、ノアの方舟に登場するノアの子孫でもある。
2点存在する作品
なお、ブリューゲル作《バベルの塔》は2点存在する。他作品は、《小バベルの塔》(ボイマンズ・ヴァン・ベーニンゲン美術館)であり、黒色顔料を用いて1563年に制作された。綿密な描写が、特徴的な作品である。
ブリューゲルは《バベルの塔》を描いた後、《小バベルの塔》を描いたと考えられている。現在、本作は美術史美術館(オーストリア・ウィーン)にて展示されている。
初めて観ましたがすごいと思いました。
2020年4月22日 3:08 pm, ID 17564どこもとても細かく描かれていて、すごく立体的な作品だと思います。
塔が崩れている感じがリアルで面白いです。