作品概要
《少女の後ろ姿》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1926年から1926年で、ダリ美術館、フロリダに所蔵されている。

ダリの4歳下の妹アナ・マリアをモデルに描かれた『少女の後ろ姿』。女性の後ろ姿はダリの絵画に繰り返しあらわれるテーマであるが、1929年にガラが現れるまでアナ・マリアの後ろ姿はダリのデッサンや肖像画に多く描かれている。
光の当たった白く美しい背中に、黒く豊かならせん状の巻き毛が描かれた少女の後ろ姿。
32cmx27cmの小品でありながら、この作品で獲得した技術的業績はその後の名作の制作に大いに生かされ、ダリの傑作と評する批評家もいるほどだ。
当時ダリは新進の画家としてバルセロナのダルマウギャラリーでの個展を2年連続成功させ、フェルメールやピカソ、アングルなど巨匠たちの影響を受けた卓越した技術と表現力が評価されていた。この絵にもフェルメールの写実主義の影響が見て取れる。
一方、この絵が描かれた翌年1927年にはパリに赴いてブルトンを始めシュルレアリスム運動の中心的人物たちと知己を得ており、ダリの内面ではシュルレアリスムへの試みが膨らんでいたであろう。このらせん状の巻き毛はダリが好んで使ったカタツムリとのダブルイメージへと発展していったのではないだろうか。
若い頃、特に母親を亡くした後は非常に近しい兄妹関係にあった二人だが、ダリがあまりにもスキャンダラスに過去の家庭生活を発表することに苦悩したアナ・マリアは、真実のダリとダリ家の姿についての書物を出版し、自身を神格化しようとしていたダリを憤慨させる。その時にアナ・マリアを題材に描いた作品が『自らの純潔に獣姦される若い処女』(1954年)である。
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